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新作ドローチェーンバッグ

 

新しいデザインのバッグが、ついに完成しました。
自信を持ってお届けできる、すばらしい出来栄えです。

どうやってこのバッグができるのに至ったか、今日はその裏話を披露します。

企画の始まりは、お客様からのリクエストもあって、ポシェットより容量が大きい、今まで作ってこなかったタイプのバッグを作りたいと思ったことでした。

サイズはポシェットの倍より少し入るぐらいを想定して、僕がまず思いついたのは、底が四角っぽいカバン。底が四角っぽいと、小ぶりでも容積が増えます。それから、僕はファスナーが嫌いなので、ファスナーがなくて、だけどちゃんと安心のために口が閉まるバッグ。

そう思い描いていたら、「そうや!ノエがあった!」と。

 

 

ノエ(Noé)というのはルイ・ヴィトンの1932年からのロングセラーのバッグで、シャンパンボトルが5本入る想定で作られたんですよ。僕の好きな縦長のバケツ型ですね。ノエは「ノアの箱舟」のノアのことで、聖書の中で初めてワインを飲んだ人物らしいです。

もちろんノエは他社のデザインなので、「SEIJIROがノエのようなバッグを作るとしたらどうするか?」っていう視点で考えました。

SEIJIROならやっぱりリントンツイードで、口はチェーンでしぼって、なおかつショートハンドルを上手に使えないか・・・?

それでデザインを起こしました。



「リントンツイード×革」の組み合わせは、尋常じゃない!?

 

一番こだわったのは、底の部分です。姫路レザーを使いました。

リントンツイードに革の質感が加わって、仕上がりがグレードアップしました。

転げないで、しっかり立つ。なおかつ、へしゃげない、型崩れのないバッグ、というのを、僕はいつも大事に考えています。

この底の部分を作るのには苦労をしました。

やっぱり、この革は硬い。

リントンツイードは、やわらかくて繊細でフワフワで、抜け落ちるぐらいの甘撚りの生地だから、本来ならば革とは真反対の性質。革と縫い合わせるには相性が悪いです。

布といっても、帆布だったらテントとか軍用のものとかに使われる硬い資材だから、革と同じように同じミシンで縫えるんです。

でもリントンツイードと革では、あまりにも性質が違い過ぎる。使うミシンも本来は違うし、テンションも違うし、何もかも全部違います。

 

 

異質すぎる2種類の生地を縫い合わせる作業は、一番骨が折れました。

特に四隅のカーブを縫う時は、強い力で硬い革を引っ張らないといけないので、1日3個分の作業をするのが体力的に限界でした 。

ここまで異質な素材を組み合わせてバッグを作る会社は珍しいんじゃないですか。

見た目にも、ツイードと自然な感じで調和させるには、革を柔らかく見せた方が良いと思って、底に丸みを出すことにしました。底の革に、お椀型になるような癖をつけたのが大きなポイントです。



SEIJIROらしさが散りばめられたデザイン

 

口を絞るのにチェーンを使ったのも、このバッグの特徴です。

チェーンは何が良いかっていうと、リング型の金具を動かして、好きな位置でとめられるっていうことです。簡単にバッグの口を閉めたり広げたりして、チェーンのどこにでも金具を引っ掛けられます。

 

 

このリング型の金具は、小さなガラス玉が入っているのでキラッとして綺麗です。


チェーンの先端は輪っか状で二重にしています 。
ここに少し重みを持たせることで、チェーンが勝手に動いたりしないで安定する効果があります。

 

 

ポシェットがショルダータイプだから、それとの対比でこのバッグにはショートハンドルをつけて、ハンドバッグタイプにしました。

もし肩掛けにしたければ、長いショルダーストラップをオプションで付けることもできます。

使いやすいようにカスタマイズを楽しんでください。

この前、アトリエでこのバッグを買っていかれたアメリカ人の観光客は、ショルダーストラップをご希望で、しかも長さにこだわっていたので、体に合う長さのショルダーストラップを特別に作らせてもらいました。

※カスタムオーダーはアトリエでのみ受け付けております。通常のショルダーストラップの長さは1mです。

 

機能的なショートハンドルとポケット付き内装。両サイドのデッドスペースにもポケットがあって、メガネなどが入ります。

 

SEIJIROのショートハンドルとショルダーストラップは使い心地が良いと、長年ご好評をいただいています。

裏側にスウェードを貼っているので滑りにくくて肌触りが良く、スウェードの貼り方や縫う時のテクニックで、体になじみやすい曲線になるように仕上げています。

簡単に取り外せるので、このバッグだけではなくて、アレグロトートなど弊社の他のバッグや、金具(ナスカン)の口のサイズさえ合えばお手持ちのバッグにも使っていただくことができます。

 

コンパクトなバッグですが、化粧ポーチ、財布、スマホ、ペットボトルなどが入ります。

 

創業時から自信をもって提供してきたレザークラフトに、今やSEIJIROの代名詞になっているリントンツイードとチェーン。それに、一度使ってもらうと分かる機能的な内装。

SEIJIROらしい色んな要素が凝縮して、満足のいく仕上がりになりました。

このバッグは、また秋に別の生地で作る予定です。春夏用と秋冬用と、年に2回製造していきます。

生地が変わるとまた雰囲気が全然違うバッグになると思うので、楽しみにしてください。

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